今回は、時代遅れの流行語がキャラ設定とうまくマッチしている例です。
(画像はLINE TVからお借りしました)
已經連吃藥都撐不住了
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ロイ・チウ扮する主人公が、友人の心理カウンセラーに診てもらっている場面です。
このセリフのどこが「時代遅れの流行語」なのかと言うと、「撐不住chēng bú zhù」の部分。実は、音声と字幕がちょっと違っていて、カウンセラーが喋っているのは「撐(支える、持ちこたえる)」を英語に変えた「hold不住」なのです。
こんなズレはよく見かける現象で、このブログでもこれまでに何度かご紹介していますね。
●華麗なる玉子様/スローガン
●華麗なる玉子様/字幕の限界?
●我和我的十七歲/すごい、素晴らしい
字幕のズレについてまとめたページはこちら。
流行語の話にもどります。
実は「hold不住」の元の形は「hold住」。2011年に、お笑い芸人のミス・リンが使ったのが流行のきっかけと言われています
その「hold住」をアレンジして可能補語の形にしたのが、今日のセリフの「hold不住/撐不住」。動詞の「hold/撐」と、動作の結果が安定していることを表す補語の「住」の間に「不」を入れて、「こらえ切れない、持ちこたえられない、対応しきれない」という意味にしています。
喋っているカウンセラーのキャラ設定は、ちょっといい加減であまり頼りにならない感じ。「時代遅れの流行語」も、そのキャラにぴったりです。
台湾では、英語が、こんな風に中国語の規則の中でアレンジされている例がたくさんあります。「いいですか?」の意味の「好嗎?好不好?」が、「OK嗎?/O不OK?」となるのもそうですね。
日本語の「ググる」「ミスる」等と似ているのかもしれません。
今日の字幕の「連~都」は「~でさえも」。最後の「了」は前回ご紹介した「変化の了」で、以前までは薬で何とかコントロールできてたのに、今はそれもできなく「なった」という意味です。「コントロールできなかった」ではありませんのでご注意を。
「hold住」流行のきっかけとなった番組は、今もYoutubeで見る事ができるのですが、わざと大袈裟に英語を多用する事で、笑いを誘うという古典的なテクニックが十分に活かされています。易しい言い回しが多いので、ぜひこちらもチェックしてみて下さいね。