今日は、最初犬猿の仲だった主人公ふたりの関係を象徴するこのセリフから。
(画像はLINE TVからお借りしました)
這種女人是不是誰娶到誰倒楣そんな女と結婚したら、ババを引いたようなもんじゃない |
「這種女人」は、隣の女性を暗示していますが、実際は電話の向こうの母親の勧める見合い相手。今日のポイントは、この「這」をどう訳すかです。
日本の教室で中国語を勉強する時には、以下のような対応で覚えることが多いかと思います。
這:こ(れ) 那:あ(れ)
問題は、日本語にはもうひとつ、「そ」があるということ。では、「こ、そ、あ」って、私たちは普段どう使い分けているのでしょうか?ちょっと考えると、距離の差に思えるかもしれませんが、実際は「こ:話し手のエリア」「そ:聞き手のエリア」「あ:その他のエリア」という対応です。また、「そ」には自分が直前に言った言葉を指す働きもありますね。
だから、もし上のセリフを「こんな女」と訳してしまうと、「自分のすぐ近くにいる女」となり、暗示じゃなくなるのでだめです。
このセリフは面白さは、「這種女人」が電話の向こうの母親が言っている女性と、今隣にいるこの女性の両方を指せるところにあります。だから、本当は「そんな女」と訳してもこのセリフの面白さを十分に伝えることはできないのです。
ドラマって、登場人物の位置関係がよくわかるから、こういう細かい訳語の問題を考えたい時にはとっても便利ですね。
「這、那」と「こ、そ、あ」の対応関係は、以下のページも参照してください。
●台湾華語ワンポイントアドバイス:かゆいところに手が届いたら
今回のセリフには、「誰、誰」と同じ疑問詞を2回繰り返す文型も出てきますが、次のような関係を考えると訳しやすいかと思います。
<A娶到~⇒A倒楣>
つまり、「(そんな女と)結婚した男=ついてない男」となるのです。「倒楣dǎoméi(ついていない)」は少し意訳して「ババを引いた」としてみました。
この疑問詞を繰り返す文型については、以前「マーフィー、愛の法則」のところで解説しています。詳細はこちらからどうぞ。
(2017.9.9のブログ記事に加筆修正しました)