直前の場面で女の子を怒らせてしまった主人公。弁解してもその怒りは消えず、バイクを「とめて!」と言われてしまいます。
(画像はLINE TVからお借りしました)
我叫你停車
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怒って二度も「停車!(とめて!)」と言っているのに、バイクを運転している主人公は、なぜそんなに怒っているのかが理解できず、戸惑いながら「我們還沒到(まだ着いてないよ)」と返してしまいます。その後の女の子のセリフがこれです。
”叫jiào”は「~させる」と訳すこともあることから、「使役」と理解している人もいますが、もともとの意味は「言葉で命じる」です。結果として相手がその指示に従うこともありますが、この場面のように、言うことを聞かせようとしているだけの可能性も十分あるのです。
このような”叫”を使った文を「使役文」と呼んでしまうと、この「相手が従ったかどうかがわからない」という点について誤解されてしまうかもしれません。そこで、このような文型には、「兼語文」という別の文法用語が当てられているのです。この文型を図示すると、以下のような形になります。
次のような例も、相手が言う通りにしたかどうかは、前後の文脈を見ないとわかりません。
①我叫他去買牛奶。(彼に牛乳を買いに行くように言った。)
②媽媽叫我打掃客廳。(母にリビングを掃除するように言われた。)
教科書に出てくる例文では、結果として言われた通りにしていることが多いので、”叫”のもつ「命じただけ」という意味がとらえにくいのですが、このドラマのセリフを見ると、相手が言うことを聞かない場合もあるというのがよくわかりますね。
この兼語文は、日常会話でもよく使うので、ドラマのセリフにもたくさん出てきます。以下の記事も参考にしてください。
(2021.11.8)