金指みなみ様

“人”が好きになりました!
金指みなみ様 intern kanasashi2 -台湾大学進学,短期語学留学
お名前​ 金指みなみ様
年齢(留学時) 21歳
留学校 台湾大学
留学期間​ 1年間
宿泊​ 大学寮
ビザ種類​ 留学ビザ

1年間の留学を終え東京へ向かう飛行機の中で、この留学体験記を書いています。
前日までは全然実感が湧かなかったのに、1人になった途端、台湾で出会った大好きな人たちの顔を思い浮かべたら、涙が溢れて止まらなくなってしまいました。(隣の日本人観光客らしき姉弟はきっとびっくりしているんだろうな。)
台湾留学で何を得たか。中国語?国際経験?美味しいB級グルメの知識と脂肪?それらはもちろんだけれど、「“人”が大好きになった」、これに勝る収穫はありません。

留学前から知らない人と出会って、自分の知らない世界を見てきた、その人の人生に触れるのがとても好きでした。けれど、外見も性格も、自分に自信が持てず、人と深い関係を持つのを恐れて、いつも上辺だけで付き合ってしまいがち、そんな自分のことが大嫌いでした。

台湾に来てまずカルチャーショックを受けたのは、人への関心の深さでした。日本のような営業スマイルばっちりの店員さんや、礼儀正しいジェントルマンには滅多に出会えないけれど、朝ごはん屋さんのおばさんや通学路を急ぐ高校生、みんな“他人”に対する関心が伝わってくる。彼らにとって、“他人”は“友達になれるかもしれない人”であって、“自分とは関係のない人”では決してありませんでした。

中国語がうまく聞き取れずに怒鳴られたバスの運転手のおじちゃんも、やっとこさ伝えた目的地に近づくと、「ほら、着いたよ。」なんてぶっきらぼうに、でもさっきよりも優しい声でわざわざアナウンスしてくれるし、毎朝コーヒーを買っていた、宿舎の隣のセブンイレブンの朝番のおばさんは、笑顔一つ見せず、面倒臭そうにレジ打ちしているのに、コーヒーを買わない日は「あれ、今日はいらないの?」なんて気にかけてくれる。

そうした小さな、でも心がほっこりする台湾人の優しさに触れる度に、課題が山のように溜まって人生の意味が見出せなくさえなった時も、信じていた元カレに浮気されて絶望のどん底に突き落とされた時も、「台湾ってやっぱりいいな、明日はもうちょっと頑張ろうかな」と気持ちを切り替えられました。

そして自分を大きく変えてくれるきっかけになったのは、留学先・台湾大学での部活動経験でした。中国語がほとんどできなかった私に、英語で真剣に説明をしてくれたことが決め手で入部した、「小海豚MV舞蹈社團(ミュージックビデオカバーダンス部)」。1:部員はほとんど台湾人、2:部の運営や練習は全て中国語、という、中国語の右と左の違いさえよく分かっていなかった自分にはかなり厳しい環境でしたが、激太り防止かつ中国語を鍛えるのに絶好の機会だ、と思い、週末を全て返上して部活動に通いつめました。

最初の1か月は本当に何も喋れず、ひとりぽつねんとしていましたが、ダンスの発表会に向けた宣伝写真を撮る場で初めて仲間と打ち解けられ、そこからぐっと距離が縮まりました。(この時にみんなと仲良くなるきっかけを作ってくれた部員が、4日前から付き合い始めた今の彼氏さんです)

中学・高校の部活動があまり盛んではない台湾は、大学からサークル・部活動を始める場合がほとんど。周りの部員はほぼ全員がダンス初心者でした。小さい頃からずっと運動を続け、習い事や部活動で7年以上のダンス経験もある私は、日本では下手な方だったけれど、彼らの目には本当にダンスが上手な日本人に見えたのか、「Minamiのダンスは本当にかっこよくてセクシーで、ファンになっちゃう」、「Minamiの笑顔が好き」、「Minamiかわいい」なんて褒めまくってくれるのです。
私はいつも自分に自信が持てず、特に外見にコンプレックスを抱えていたので、彼らの誉め言葉にむずむずしてばかりでしたが、お陰で自分に少し自信が持てるようになりました。自分を好きでいられない人間が、身の周りの人を心から好きになれるはずがない、と考え方を変えられたのも、彼らの存在があったからでした。

そんな部活の皆を始め、
家族ぐるみで私のことを気遣ってくれた、台湾人の親友と彼女のご両親、
夏休みの言語学校で出会った、流ちょうな中国語を話す、本当に尊敬できるカナダの友人と、
何時間でもおしゃべりに付き合ってくれる努力家の日本人の先輩、
中国語の勉強をどんどん好きにさせてくれた、台湾大学の中国語のクラスの先生、
あまり仕事はしてくれないけれど、どこか憎めないグループワークの留学生メンバー、
私の日本人らしくない性格を気に入ってくれた言語交換のパートナー、
そしてまるで私が本当の娘か妹のようにかわいがってくれ、台湾の魅力と探求心の大切さを教えてくれたインターン先の同僚や上司の方々…
そうした数々の出会いがあって今の私があるから、台湾で出会ったすべての人が、私は本当に大好きです。
大好きな人たちのために、大好きになるであろう人たちともっともっとたくさん出会うために、私はいつでも笑顔が素敵な、出会う人皆を幸せにできる人でありたい。
そんな人生の目標を与えてくれたのも、大好きな人たちのいる世界で生きることが、こんなに楽しくて刺激的なんだと気づかせてくれたのも、台湾留学でした。

目に見える成果も、見えない成果も、短い限られた時間と慣れない環境の中で、どれだけの収穫が得られるか、それは人それぞれだけれど、どんな生活を送っても、自分にしか描けない留学生活のはず。だから留学ってこんなに素敵なものなのかもしれません。

上:ダンス部の発表会
左下:リハーサル  右下:新入部員勧誘

金指みなみ様 ダンス部 -台湾大学進学,短期語学留学