主人公の顧客であるおじいさんが、人生を振り返っている場面です。今回は少し長いセリフなので、スクリーンショットを並べてみます。
(画像はLINE TVからお借りしました)
就算你這一輩子什麼都擁有了,你也不一定能夠得到幸福。
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これまで必死で頑張って来たけれど、そんな道理は誰も教えてくれなかったと嘆くおじいさん。主人公にとっては、その後の身の振り方を考える上で大きなヒントとなったセリフでした。
「就算A,(主語)也B」は、「たとえAだとしてもBになる」という意味を表す呼応形式です。
中国語では、こんなふうに二つの語句を呼応させて使う文型がたくさんありますが、その多くは、「主語+述語」の関係にある語句が、一文の中に2組以上並んでいる複文の形になっています。少し例をあげてみましょう。
和訳の方はそれほど難しくないかもしれませんが、これが中訳や中作文になると難易度がかなり上がるようです。こんな文型の間違いを減らすためにぜひ覚えていただきたいのが、複文に関する次の二つの原則です。
(1)二つの節の主語が異なる時は、どちらの主語も省略できない。
(2)二番目の節に主語を置く時は、副詞(就、才、都、也)の前に置く。
テキストによっては、この種の呼応形式の文型が、「要是……,就」「只有……,才」のように、「,」の直後に副詞を置くように見える形になっていることがあります。もし、次のように、二つの節の主語が共通で、二番目の節の主語が省略できる場合はそれでも問題ありません。
⑥要是你喜歡吃這個菜,就多吃點吧。(この料理が気に入ったのなら、しっかり食べてね。)
⑦就算你不太喜歡那個菜,也不可以浪費食物(その料理があまり好きじゃなかったとても、食べ物を粗末にしてはいけない。)
でも実際は、①-⑤のように「,」と副詞の間に主語が入る例も少なくないのです。今回のセリフでも、”也”は主語”你”の後に置かれていますね。
中訳や中作文をしてもらうと、二番目の節の副詞を、主語の有無にかかわらず「,」の直後に置いてしまう人がたくさんいます。副詞は、動詞句や形容詞句を修飾するものだという原則をもう一度確認しておきましょう。
このセリフには、”什麼都擁有了(何もかも手に入れた)” “不一定能夠……(~できるとは限らない)” “得到幸福(幸せになる)”など、コロケーション(語句のまとまり)に注意しながら覚えておくと便利な言い回しがたくさんあります。
長いセリフや少し複雑な文型は、ちょっととっつきにくいかもしれませんが、難しめの例だからこそ、こういうドラマのセリフで覚えておけば、イメージがつかみやすのではないかと思います。
(2021.9.1)