こういうセリフを見ると、中国語ってはっきり言うから容赦ないなあ、と思ってしまいます。
(画像はLINE TVからお借りしました)
人長得還可以
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女の子の写真を見ながらつぶやいています。なぜ「顔は」なのかというと、写真の裏に書かれたその子の字が下手だったから。
「長得zhǎng de」は、後ろに形容詞句や動詞句を加えて「容姿が・・・だ」という意味を表します。「【動詞】+得+【様態補語】」の形ですね。
このセリフを日本語にするのはそれほど難しくなくても、日本語から中国語にしようと思ったら、なかなか使えない表現かもしれません。そこで、この「長得」の役割を考えるために、次の文を比べてみることにします。
①她很漂亮。
②她長得很漂亮。
自然な日本語に訳すとしたら、どちらも「彼女はきれいだ。」となるのですが、②の方は明らかに容姿に限定して述べています。しかも、「長得」を直訳すると「成長した結果」なので、メイクや服装で着飾った後のことではなく、スッピンでもきれいだという意味になります。
これに対して、①はその点を曖昧にしたままなので、もしかしたら着飾った結果きれいになったということなのかもしれません。
「きれいだ」で形容できる人の側面には色々あるけれど、その中で容姿について言っているのだと明確に限定するのがこの「長得」の役割です。このセリフの後には、「但字怎麼這樣啊(なのに字はどうしてこんななんだろう)」と続くのですが、「長得」をはっきり言うことで、その後の「字はきれいじゃない」の意外性が強調されています。「長得」は文法的にどうしても必要というわけではないのですが、こんな風に、容姿以外の側面と対比する時には、やはり「長得」があった方が自然です。
「きれいだ」だけで「何が」なのかをはっきり言わない日本語に慣れていると、ここまではっきり言ってしまう中国語は容赦ないなあとも思ってしまいますが、曖昧な日本語に疲れた時はこの明確さを心地よく思うこともあるのです。
「長得」使った例を他にもいくつかあげてみましょう。どれも容姿について話題にしています。
③他長得很高。 (彼は背が高い。)
④她長得像媽媽。(彼女は母親似だ。)
⑤她長得怎麼樣?(彼女の容姿はどう。)
なお、このセリフの「長」は「成長する、育つ」という意味を表すので「zhǎng 」という読み方になります。「長い」という意味の時の「cháng」とは違いますので注意してくださいね。
(2020.4.27)