このドラマでは、子供の頃の主人公を演じたこの女の子も大人気となりました。
(画像はLINE TVからお借りしました)
你們三個明天記得補交
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家庭では普段台湾語を話している主人公も、学校では華語(ドラマでは「國語guóyǔ」と呼ばれている)を使うことが求められています。先生のこのセリフも華語です。
「你們三個nǐmen sān ge」は、今日宿題を出していなくて起立させられている子供たち。主人公の陳嘉玲もその一人です。「補交bǔjiāo」は、提出期限を過ぎて宿題や書類等を出すこと。この場面のように、忘れたりできていなかったりする場合の他、病気で提出日に休んだ場合、或いは一部だけ出して足りない分を後日出す場合にも使います。
日本語なら「提出する」ですませるところを、わざわざ「遅れて提出」と明確に言うところが中国語らしい表現ですね。逆に言えば、「遅れて提出する」という状況を、こんな短い言葉で表現できるのが、面白いところでもあるのです。
「記得 jìde」は「覚えている」なので、このセリフを直訳すると「三人は明日提出することを覚えていなさい」となります。日本語と中国語で、こんな風に肯定形と否定形が入れ替えた方が自然になりそうな例は、以下のようにたくさんあります。
例 | 直訳 | 意訳 | |
---|---|---|---|
記得 | 記得拿發票 | 領収書をもらうのを覚えておいて<肯定形> | 忘れずに領収書をもらって<否定形> |
只 | 只有一個 | 一個だけある<肯定形> | 一個しかない<否定形> |
才 | 夏天才有 | 夏になったらようやくある <肯定形> |
夏しかない<否定形> |
不小心 | 不小心寫錯 | 不注意で書き間違える<否定形> | うっかりして書き間違える<肯定形> |
沒問題 | 沒問題 | 問題ない<否定形> | 大丈夫だ<肯定形> |
こんな例で、中国語から日本語へ、日本語から中国語へ訳す際に、肯定形と否定形を瞬時に入れ替えるトレーニングをすれば、より自然な中国語が使えるようになります。
この場面では、「不要忘記búyào wàngjì 」ということもできますが、この「記得 jìde」もよく使うのでぜひ覚えておいてください。「きっと/必ず~して」と相手に促したい時には、「一定要yídìng yào」と言うこともできますが、「記得」→「不要忘記」→「「一定要」の順に口調がきつくなる点も注意が必要です。
実は、先生がこの場面で「忘れずに提出」と言い渡している背景には、日本の学校ではあまりみかけない制度があるのですが、その話はまた次回に。
(2020.11.03)