今回は、台湾スラングの代表とも言えるこの言葉。
★機車(jīchē)/ウザイ、鬱陶しい
元々スクーターやバイクを表す言葉ですが、これを使って人を形容すると悪口になります。しかも、台湾語の下ネタ系の言葉に由来することから、とても汚い言葉だとか。「一度お母さんに叱られてからは、使ってない」という同僚もいます。
ところが、このドラマでは女の子が何度も使うのです。例えばこの場面。
(画像はLine TVからお借りしました)
多機車 すっごくウザイ! |
この主人公・雨棠と彼女の勤務する会社のCEO(真ん中にぼんやり映ってる)は、幼馴染で悪態をつき合う仲。だから、彼女が何度も使うのはまだわかります。
ところが、この人も使うのです。
左側の愛莎のセリフです。自分のボスのことをかばうための前置きとして、「(クチは悪いし)、行為很機車/することはウザイけど・・・」という流れで、この言葉を使っています。
彼女の役柄は、一流企業のCEO秘書。しかも、仕事も気配りも非の打ちどころのない完璧さ。その彼女の口からこの言葉が出て来たので、この言葉の「汚さ加減」がわからなくなってしまいました。
そこで、台湾人同僚たちにこの言葉を使うかどうか、聞いてみました。すると、冒頭の同僚以外はみんな「使う」と言うのです。この子はまさか・・・と予想した子だって、にっこり笑って「はい、使います」だって!
いろいろ聞いてみると、「面と向かって相手に対して言うことはないけど、陰で誰かのことを軽く批判する時には使う」という感じらしい。「もし、面と向かって相手に言うと、かなりきつい罵倒になるので、大人になってからは使ったことがない。」と言う子もいました。
そう言えば、このドラマの中でも本人に面と向かって言ってるわけではない。次の場面もそうです。
左側の奥の男の子が言ってます。「雖然業一的人講話有夠機車(一課の奴らの言い方はかなりウザイけど・・・)」。同じ会社の他部署の人間に嫌がらせを受けた後のセリフです。
若い子にとっては、あまり抵抗がないけれど、年代によっては嫌がる人もいるという感じでしょうか。ドラマでよく聞くからと言っても、場面を選ぶ言葉なのだろうと思います。
職場の同僚の女の子たちとこの話題で盛り上がっていた時、横で聞いていた男性同僚がポツリと言いました。
「ボク、自分で使ったことはほとんどないけど、言われたことなら1000回ぐらいある・・・」
絶妙な自虐ネタです。
(2016.10.17のブログ記事に加筆修正しました)