「最後の晩餐」で食べたいもの
職場で「最後の晩餐」は何がいいか、と聞いてみたら、「焼肉」「インスタントラーメン」「チョコレート」など、日本人と似たような答えが並びました。でも、その中でひとり、「吃到飽chīdàobǎo(食べ放題)!」と答えた同僚がいたのです。確かに太ることも気にせず、おいしいものを思いっきり食べて、「あ~苦しい」と言いながら死んでいくのも悪くないかもしれまんね。
今日は、台湾と中国の”食べ放題”を表す言葉の違いをご紹介します。
誤解がありそう
冒頭の同僚の「食べ放題」というセリフ、中国の人ならきっと“自助餐zìzhùcān”と答えるところですね。
でも、この言葉を台湾で聞くと、“食べ放題”の意味にはなりません。まずイメージするのは、街角にたくさんある、自分で選んだいろんなお惣菜を量り売りしてくれる庶民的なお店。中で食べることもできるし、お弁当箱に詰め込んで持ち帰ることもできます。
“自助餐”のもともとの漢字の意味は、台湾の使い方に近い「セルフサービスの食事」。ところが、中国ではこれに、“食べ放題”の意味までが加わったのです。
しかも、中国でこの“自助餐”があるのはホテル等のちょっと高級な飲食店のイメージが強い。だから、「最後の晩餐」にこれを選びたい、という気持ちは理解できますが、台湾の“自助餐”を選ぶ人がいたら、「なぜ!?」と驚いてしまいます。台湾で食べ放題のビュッフェを表現したいのであれば“自助餐吃到飽”“五星級自助餐”等と言葉を加えた方が安心です。

おもしろいのは、中国では、高級なイメージの強い和食のお店で、“自助餐”のサービスを提供しているところがたくさんあるという点です。おさしみも、天ぷらも、お寿司も食べ放題!でも、これ本当は「セルフサービス」ではありません。メニューから選んで、出来たてを好きなだけ注文できる「オーダーバイキング」のところがほとんどです。
中国では、“自助餐”の意味が、「セルフサービス」→「セルフサービス+食べ放題(ビュッフェ)」→「食べ放題(オーダーバイキング)」と変わっているのですね。