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華語、國語、中文、漢語、普通話

「中国語」を、中国語ではどう言うの?

私たちが勉強している「中国語」。これを中国語でどう呼ぶのか、そこがまたかなりややこしくて、わかりにくいので、ちょっと整理してみたいと思います。

まずは、台湾と中国で使われている用語の関係からご覧ください。

 台湾の場合

台湾でよく使われるのは、次の三通りです。

A.華語Huáyǔ
B.國語guóyǔ
C.中文Zhōngwén

A.華語〉は主に外国人に対する中国語教育を話題にする時に使います。だから、大学付属の中国語センターの名前には〈華語中心〉がよく使われます。

東南アジアの一部の国でもAを使いますが、中国では使わないので、「台湾流の中国語」を強調したい時に使われるのもこれです。

「台湾流の中国語」をもっと世界に広めるというプロジェクトを台湾教育部(文科省に相当)が推進していますが、こういう目的と関わるお役所の資料では、ほとんど〈A.華語〉が使われています。台湾教育部が実施している外国人対象の中国語能力検定試験TOCFLは〈華語文能力測驗〉です。中国政府が実施しているHSK(漢語水平考試)に相当するものです。

(台湾教育部の「華語文教育輸出大国八年計画」サイト)

華語、國語、中文、漢語、普通話 huayuwen -台湾大学進学,短期語学留学

でも、この〈A.華語〉は、お役所や学校の専用用語。民間ではほとんど使いません。

一般の人たちが、私たち外国人の中国語能力を言う時には、〈B.國語〉がよく使われます。

また、中国南方方言に由来する「台語Táiyǔ(台湾語)」と対照し、お役所や学校教育で使われている中国語(北京語を由来とする”標準語”)を指す場合に使うのも〈B.國語〉です。

だから、“他不會講國語(彼は「国語」が話せない)”という時の「彼」は、外国人の場合もあるし、台湾語だけできる台湾人の場合もあります。

C.中文〉は「日本語」「英語」「フランス語」等他の外国語と比較、対照する時によく使われます。例えば、普段日本語で会話している台湾人の同僚が、「中国語で説明してもいいですか?」と言う時は、“我可以用中文講嗎?”です。

外国人が中国語を話せるかどうかという話題の時には、〈B.國語〉の他に〈C.中文〉も使えますが、台湾語が話せる台湾人が”標準語”も話せるかどうか、という時に使うのは〈B.國語〉だけで、〈C.中文〉は使えません。

実は、〈B.國語〉を「標準語」と説明するとちょっと歯切れが悪くなります。お役所や学校教育で使われているのはこの〈B.國語〉なので、実質的には「標準語」と理解してよいのでしょうが、今の台湾は、台湾語の扱いが民族や国家のアイデンティティとも関わっているので、何が「標準」なのかというのはかなりデリケートな問題なのです。

 中国の場合

今の中国でよく使われるのは次の三通りです。

C.中文Zhōngwén
D.汉语(漢語)Hànyǔ
E.普通话(普通話)pǔtōnghuà

CとDの違いはちょっと複雑なので改めて。

E.普通话〉は中華人民共和国が定めた標準語。数ある中国語の方言と対照する場合にもよく使います。
最初の図でもわかる通り、台湾と中国で共通するのは〈C.中文〉だけですね。〈E.普通话〉を台湾で使わないのはよく知られていると思いますが、〈D.汉语(漢語)〉も使わない、というのはあまり知られていないかもしれません。私自身も、「そう言えば聞かないなー」と思ったのは、台湾で暮らすようになって、ずいぶんたってからでした。

ローマ字を使って中国語の発音を書き表す方法は何通りかありますが、その中で中国で使われているものを呼ぶ時には、”漢語拼音Hànyǔ pīnyīn”と言うことがあります。つまり、台湾で〈D.汉语(漢語)〉と言うと、「中国の中国語」というイメージが強いのです。


台湾の中国語と中国の中国語を比較する時に、〈A.華語〉と〈E.普通话〉という言葉を選んでいるのは、台湾と中国と、どちらか一方でしか使われないことが比較的よく知られているという理由に加え、方言を含まないことを前提にしたいという理由もありました。

国語や標準語の問題は、国家観や民族意識とも大きく関わるので、これを歯切れのいい言葉で説明するのはなかなか大変です。