同じ言葉が別のお酒を指す
どんなお酒を、どんな風に飲むかもその国の文化と深く結び付いていますが、こんなところにも台湾と中国の違いがあったのです。
中国の場合
しばらく中国で働いていた私にとって、中国のお酒と言えば”白酒(báijiǔ)”。
コーリャン・トウモロコシ等で作った度数の高い(30-60度ぐらい)蒸留酒です。私自身は好きではありませんが、中国企業との宴会で、何度もこれで乾杯し酔いつぶれるジャパニーズビジネスマンの奮闘ぶりを、ずっと傍で見てきました。最近は、ヘルシー志向や自家用車の普及等で、ひどい宴会は減りましたが、それでも中国の酒豪と言えばこの透明な蒸留酒を思い浮かべます。
台湾の場合
ところがこの話を台湾でした時に、最初はちょっと話がかみ合わなかったのです。
それは、台湾で”白酒”と言うと、普通は下の写真の左側を指すから。そう、白ワインなのです!
中国の「白酒」に相当するものは、右のように、材料名をつけて「高粱酒(gāoliángjiǔ)」等と呼ばれます。
お酒のラベルを見ると、商品名は「高粱酒」、種類は「白酒」と書かれていますが、日常会話でいきなり白酒と言われると、やはり白ワインを思い浮かべるのだとか。
上の写真はカルフールのものですが、セブンイレブンの「高粱酒」商品棚(下の写真)には「中式白酒」と書かれています。「中国スタイルの」と注釈をつけるところが、台湾ならではです。
カルフールの棚に並んでいたこの商品の名前も、ちょっと面白い。
映画の題名にもなった”紅高粱(赤いコーリャン)”を使ったお酒。でも、できたお酒は透明なので、種類はやはり”白酒”なのです。
日本も違う
そう言えば、日本語の「白酒(しろざけ)」はひな祭りの時に飲むもの。
同じ漢字を使っていても、台湾と中国と日本で、指すものが違う。これが表意文字である漢字の面白さですね。「白酒」はただ「白いお酒」としか言ってない。後はその地域の文化や習慣と結び付いて、意味が特化されていくのでしょう。
(まめ/日本人スタッフ)