槓龜
gàngguī/kòng-ku コンク
くじなどがはずれる
よく見かけるのに、変な漢字(シツレイ)だわ字面から全く意味がイメージできないわ、で避けて通りたくなるこの言葉。英語→日本語→台湾語→華語、と複雑なプロセスを経て今の形になったようです。
はずれるという意味の英語「skunk」が日本語の「スコンク」になり、なぜか「ス」が取れて台湾語の“摃龜(kòng-ku/コンク)”になり、最後はこれを華語読みしての“槓龜(gàng guī)”。台湾教育部の『国語辞典』にも載っています(普通の中国語辞書には載っていません)。
ドラマはもちろん、新聞記事でもよく見かけます。印象に残った“槓龜”の例文、二つあげてみます。
(1)台湾ドラマ『1989一念間(1989年の君へ)』の日本語版第30集。ペットの亀が心配で、職場の証券会社に連れてきてしまう主人公の真真ちゃん。部長に見つかり「証券会社の営業部員が亀を飼うとか信じられんわ?」とこっぴどく怒られるのですが(開始23分くらい)、そこで言われるのが
”槓龜兩個字妳知道怎麼寫嗎?”
(「ハズレ」の2文字をどう書くかお前は知らないのか)
というセリフ。証券会社の主な業務は株の売買です。クジのような完全な運頼みではないけれど、読みが当たったりはずれたりする世界。そんな世界でハズレを意味する“槓龜”はタブーと言ってもいいでしょう。元々はただの当て字だった“亀”にまで飛び火して、証券会社の営業部員のくせに不吉な亀を飼うなんて!と部長に叱られているのです。
(2)自由時報の記事。雨の日に道路をさまよっていた亀を助けた人が、その後宝くじ買ってナント2等が当たったらしく、ちょっとネットがざわつきました。
救烏龜沒槓龜反而中了台彩二奬 網:哪裡還有烏龜可以救?
(亀を助けてハズレどころか2等に当選。ネット民は「亀を助けられる場所、他にどこか無い?」)
笑えます。どちらの例も、台湾では「ハズレ」と「亀」が切っても切り離せない関係だということがよくわかりますね。
※参考文献:『台湾人也不知道的 台式國語』(曹銘宗)貓頭鷹出版(2013)p146~147