雞婆
jīpó/ke-pô げーぼー
余計な世話を焼く、おせっかいだ
台湾の映画やドラマで出てこないことはない、というくらいのポピュラーなスラングです。元々は「おせっかい」という意味の台湾語。でもすでに完全に台湾華語化していて、台湾の『国語辞典』には載っています。
“雞婆”、元は台湾語なのですが、教育部の台湾語辞典(『臺灣閩南語常用詞辭典』)には載っていません。台湾語の漢字は“家婆(ke-pô/げーぼー)”だからです。じゃあなんで“雞婆”になったのか?それは“家(ke/げー)”と“鶏(ke/げー)”、同じ発音の二つの漢字が混同され、最終的に“鶏婆”の方が定着したのだそうです(諸説あり)。
台湾ドラマに出てくる例は枚挙に暇がありませんが、人気ドラマに出てきた“雞婆”の例をいくつか見てみましょう。
(1)台湾ドラマ『華燈初上』(シリーズ3)最終話
シリーズ1では殺されたのが誰なのか最後までわからず、シリーズ2では犯人が最後までわからず。という、新しいタイプのミステリーでした。謎解きよりも、夜の街で働く女性たちの人生にスポットを当てた人間ドラマ。本当に面白かったです。
最終話、大学の授業中。アイコが少し前の席に座ってる何予恩くんに丸めた紙を投げる場面。何予恩が拾って広げてみるとそこには一言、“雞婆”の文字…。表面上は「おせっかいね?」、でもその言葉の裏にある本当の意味は「ありがとう♥️」。不仲だった自分の母親と仲直りのきっかけを作ってくれた何予恩くんに感謝しているアイコなのでした。
(2)台湾ドラマ『最佳利益』第4話
こちらも私の大好きなドラマです。台湾語もスラングもバンバンでてきます。基本、1~2話完結の法廷もの。社会の巨悪が恐ろしすぎる面はありましたが、謎解きとラブ要素と人間模様がいい感じのバランスで、本当に楽しみました。
“雞婆”が出てくるのは第4話。困っている人をほおっておけない新人弁護士の陳博昀くんに、指導係で上司の方弁護士が、本当におせっかいなんだから。と指摘する場面です。この2人、ふー、ドキドキする♡
雞婆想幹嘛吧
(おせっかいしようと思ってるわね)
(3)台湾ドラマ『醉後決定愛上你』(最後はきみを好きになる)日本語版第26話
これもまた大好きなドラマです。台湾ドラマらしい王道のラブコメで、幸せいっぱいの最終回を何度繰り返して見たかわかりません。“雞婆”は、偽装結婚から本気で愛し合うようになる夫の宋杰修(ソン・ジエシュウ)がその妻、林曉如(リン・シャオルー)に対して使っています。病気の同僚のご飯を作りに行くと言う妻に向かって…
請妳收起妳的雞婆!
おせっかいはやめてくれ!
台湾語“家婆”の語源についての説明は『台湾人也不知道的 台式國語』に詳しく載っています。
※参考文献:『台湾人也不知道的 台式國語』(曹銘宗)貓頭鷹出版(2013)p46~47