出包
chūbāo
トラブルが起きる、失敗する、トラブル
台湾のドラマや新聞などでよーく見かけ、文脈から意味も何となくわかるけど、中国語の辞書にも台湾語の辞書にも載ってなーい。じゃあいったい何なのよ、キーーーッ。となる言葉が台湾にはけっこうあります。この“出包”もその一つ。実はこれ、半分台湾語半分中国語という「ハーフ&ハーフ系」のスラングなんです。
もとになった台湾語は、“掠包(lia̍h-pau リャーバウ )”。悪事を見つける、告発するという意味です。この“包”が単独で「悪事や間違い、失敗、トラブル」として取り出され、それが起きるということで華語の“出(chū)”が組み合わされて…。で、“出包”(トラブルが起きる、失敗する)となったらしいのですが、現在は「トラブル」という意味の名詞的な使い方も多いです。
とにかく、あまりにも頻繁に使われているので、スラングハンターたまりもスルーしがち。だから記録している例もあまり多くないのですが、いくつかご紹介します。
(1)2022年の台湾ドラマ『正義的算法(正義の法則)』第2話、19分50秒。
裁判でやらかしてしまった主人公、劉浪がボスに対して
我第一次出包 你就讓我死
(たった一回の失敗でクビにするんすか)
(2)台湾ドラマ『三明治女孩的逆襲(サンドイッチガールの逆襲)』でも。
このドラマ、好き嫌いがわかれるようですが、私は大好きでした。スラングも台湾語もバンバン出てきます。日本版第11話の18分30秒くらい、主人公の蘇筱青(シャオチン)がイケメン大家さん瞿子峻(ズージュン)に仕事を頼むシーン。
本來拍好的照片出包
(もともと撮ってた写真にトラブルがあって)
日本語字幕ではこの“出包” は特に訳されておらず、「通販サイトの写真を撮り直さなきゃならないの」になっています。
(3)自由時報からも一つ。ちょっと前の記事です。
陳奕迅開唱頻出包 幽默自嘲化解尷尬
(イーソンチャン、歌い出しからトラブル続出。自虐のユーモアで乗り切った)
という感じでしょうか。
※“出包”は台湾の《兩岸詞典》には「台湾独特の語彙」として掲載されています。