「冰bīng」は「氷(こおり)」。そう考えるのも無理はないのですが、「本当にそうかな?」と疑ってみると面白いことに気づくかもしれません。
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【ヒント】日本語は、「氷」を表すカタカナ語を上手く使っている。
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【解説】
例えば、台湾人の友達に、「これから『吃冰 chī bīng』しよう!」と誘われたら、「やったー!ふわふわかき氷だ!」とわくわくしてしまうかもしれませんね。
でも、残念ながら、そうとも限らないのです。
日本人にとって、マンゴーかき氷等の「刨冰 bàobīng(かき氷)」は、台湾グルメの代表みたいなもの。だから、「吃冰 」と聞いた時に、真っ先にふわふわかき氷を思い浮かべるのは無理もないのですが、実はこの場合の「冰bīng」は「かき氷+アイスクリーム」の総称なのです。
だから、かき氷の可能性もあるけれど、四角いアイスキャンディー(冰棒bīngbàng)や、カップアイス(冰淇淋bīngqíín)や、ソフトクリーム(霜淇淋shuāngqílín)の可能性だって十分あるのです。
例えば、TOCFL模擬試験問題(リスニング問題Band B_ vol.1_39)には、動物園で「牛奶冰niúnǎibīng」を食べるという場面が出て来るのですが、ここでネイティブがまず思い浮かべるのも、かき氷だったり、ミルク味のアイスキャンディーだったり、ソフトクリームだったり様々。
街なかで一番手軽に買えるのは、工場で商品となって出荷されるアイスキャンデーやカップアイス。「吃冰」を訳す際には、そういう背景も想像できるといいですね。
なお、味のついていない四角い透明の氷を食べる場合は「吃冰塊chī bīngkuài」です。
日本語の「氷(こおり)」と「アイス」は、単なる言い換え語ではなく、カバーする意味の範囲が少しズレていますね。「牛乳(ぎゅうにゅう)」と「ミルク」も同じ。
こういう和語、漢語、カタカナ語(外来語)の使い分けが、日本語の語彙を豊かにしているのですが、漢字で書かれている中国語を見ると、日本語に訳す時にもどうしても漢字を使った言葉が先に浮かんで来てしまいがち。文脈に応じて、和語、漢語、カタカナ語を上手く使い分けて訳す練習をすることも、中国語の細かいニュアンスを理解するためのよいトレーニングになるはずです。
(2019.1.16)