文末に「吧ba」のついた文は、「~したら」「~ましょう」「~でしょう?」等、文脈によって様々な訳を工夫しなければなりませんね。こんな「吧」に共通する意味って、いったい何なんでしょうか。
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【ヒント】「吧」がない場合と比べてみる。
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【解説】
「吧」はよく使う文末助詞のひとつですが、日本語にする時にはいくつかの訳し方があるので、それをひとつずつ覚えようとして、混乱している人も多いような気がします。
そんな時は、共通する意味をまず覚えてしまいます。
「吧」に共通する意味は「断定を避ける」ということ。断言したり、決めつけたりせずに、自分の意見や判断を控えめに述べ、相手の意見や判断を参考にしたり受け入れたりする姿勢を示します。
「吧」がある場合とない場合を比べてみるとそれがよくわかります。まず、最初の例を見てみましょう。
①你去!Nǐ qù !(行け!)
②你去吧!Nǐ qù ba !(行ったら、行きなさいよ)
①はきつい口調で命令している感じです。話し手が100%断定しているので、相手の意見や判断を聞き入れる余地がないという印象を与えます。「有無を言わせず」という感じですね。これに「吧」がつくと、「私が決めているわけではない」という気持ちが加わるので、相手の意向を尊重している感じが出ます。これが、「吧」に「A.提言、優しい命令」という用法がある理由です。
時々、「吧」=「しょう」と機械的に覚えて、②のような例を「(あなた)行きましょう」と訳す人がいますが、「行きましょう」の主語は普通「私(たち)」ですね。「~しょう」を相手だけの動作を表す時に使うと変ですので、注意してください。主語が「你」の場合は、「勧めたり、優しい口調で命令したりしている」と考えて、次のように、それにふさわしい訳語を考えます。
③你來吧!Nǐ lái ba! (おいでよ)(×来ましょう)
④你吃吧!Nǐ chī ba!(食べて)(×食べましょう)
主語が「我們(私たち)」の時も、「吧」がつくと、断定したり決めつけたりする感じがなくなるので、相手の意向を尊重している気持ちが現れます。「B.提案、誘いかけ」という用法ですね。
⑤我們一起吃飯。Wǒmen yìqǐ chī fàn.(私たちは一緒にごはんを食べます)
⑥我們一起吃飯吧!Wǒmen yìqǐ chī fàn ba! (一緒にごはんを食べましょう)
三番目の用法は、「C.推測、確認」です。「断定を避ける」という「吧」の役割りが一番よくわかるのは、この用法かもれません。次の三つの例を比べてみてください。
⑦他是台灣人。Tā shì Táiwān rén .(彼は台湾人です):100%自信がある→肯定文
⑧他是台灣人嗎?Tā shì Táiwān rén ma?(彼は台湾人ですか):自信は50%(?)→疑問文
⑨他是台灣人吧?Tā shì Táiwān rén ba?:(彼は台湾人でしょう?):自信は70-80%(?)→推測、確認
もし「彼は台湾人」という判断に100%自信があれば、⑦を使いますね。「台湾人かどうかが全くわからない」という時は、⑧のように「嗎ma」をつけて疑問文にします。⑨の「吧」を使った形の自信度はそのあいだ。自分が推測した内容を相手に示して確認をしています。
なお、Cの用法は、次のように皮肉の意味を持つことがあります。
⑩你是大學生吧?Nǐ shì dàxuéshēng ba?(あなたは大学生でしょう?)
本当は、相手が大学生だということは100%わかっているのですが、全然勉強しない等の理由で、その判断に、何割か疑いの余地があると言っているのです。
(2018.12.10)