言おうとして言えなかった言葉は字幕には出てきません。でも、もしそれが想像できたら、ドラマがもっともっと楽しめると思うのです。
(画像はLINE TVからお借りしました)
你拿
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田舎に帰って、おじいちゃんのよろず屋を引き継ぐことにした主人公。都会では一流の営業マンでも、最初はなかなか上手く行きません。そんな戸惑いを象徴するエピソードのひとつがこの場面。缶入りのサラダ油を買いに来た女の子に、値段の計算までテキパキ処理されてしまった後のセリフです。
1缶出して来るだけでその重さに四苦八苦した主人公が、2缶持とうとする女の子に「君には無理だよ」と声をかけようとしています。
ところが、そのセリフを言い終わらないうちに、女の子はその2缶を軽々と持ちあげてしまうのです。呆然としながら、出てきた言葉はこれでした。
(画像はLINE TVからお借りしました)
得動
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このセリフを続けて並べると可能補語の「拿得動nádedòng (持てる)」となります。
では、主人公が言おうとして言いそびれた言葉が何かと言うと、その反対の「拿不動nábúdòng(重くて持てない)」です。
可能補語は、その状況だとどう頑張っても無理ということを表現する時に使うもので、その多くは「拿不動」のような否定形で使います。「拿得動」のような肯定形は、否定の否定、つまり誰かが「できない」と考えている時に、「そんなことはないよ」と否定するのが一番よくある使い方。この場面も、自分で言おうとしたことを否定する気持ちが表れていますね。
(2021.9.10)