似たような言葉の使い分けも、ドラマの場面とリンクさせれば覚えやすくなります。
(画像はLINE TVからお借りしました)
擦一下 氣色好一點
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ドラマの前半では、職場の上司に対して主人公のうっぷんが溜まっていく過程が繰り返し描かれていますが、この場面もそのひとつ。口紅を投げて寄こして「顔色が悪すぎるから、これでもつけろ」と言っているのです。
「顔色(かおいろ)」に相当する中国語には、この「氣色qìsè」の他に「臉色liǎnsè」もありますが、使い方が少し違います。
「臉色」の方は日本語の「顔色(かおいろ)」と同様、健康状態に関わる場合にも、心理状態に関わる場合にも使えます。例えば、「變了臉色biàn le liǎnsè」なら「顔色を変える」、「看臉色kàn liǎnsè」なら「顔色をうかがう」です。
これに対して「氣色」は健康状態に関わる場合しか使いません。
なお、「顔色が悪いけど、大丈夫?」と相手を気遣う時には、通常「你看起來氣色不太好,還好嗎?」のように、「看起來」「不太」等をつけて遠回しに言います。「你氣色不好」と断定的に言うと、ちょっと失礼な感じがするので普通は使いません。
ところが、この上司は直前のセリフで「氣色太差了嘛(顔色が悪すぎるじゃないの)」と言っています。かなり不躾な言い方で、こんなところにも、相手の気持ちを全く考えない上司の性格が象徴されています。
主人公が、いつも上司やその妻に対して「看臉色」で、言いたいことも言えないでいるのと対照的な点もぜひ注目してみてください。
(2020.11.06)