前回ご紹介した場面で、宿題を出していない児童に対し、先生が「明日忘れずに出すように」と念を押している背景にはこんな制度がありました。
(画像はLINE TVからお借りしました)
教務處要抽查
|
では、この「抽查chōuchá(抜き取り検査)」って、どんな制度なのでしょうか?検査するのは、いったい誰なのでしょうか?
改めて考えると、何だかよくわかりません。こんな時には、まず台湾人同僚たちの記憶にすがります。学校や年代によって方法は違うようですが、みんなこの「抽查」があったことは覚えていました。宿題に出された「習作xízuò(ワークブック)」等を、どこかに提出してチェックしてもらう制度のようですが、その目的は子供だからあまり気にしていなかったというのが実情のようです。
調べてみると、教育部(文科省に相当)から出された指導要領や評価基準を、個々の先生がきちんと守っているかどうかを、各学校の管理職がチェックする制度のようです。学校のサイトからダウンロードできる「〇〇國民小學作業抽查紀錄表」を見ると、指導や進度が適切かどうかについて細かく分類されたチェック項目毎に、担当の先生の自己評価と検閲者の評価を記入する欄がありました。
何人分かの学籍番号を指定して、決められた期日に、児童生徒本人がワークブック等を持って行くよう指示したお知らせも、ネット上でいくつか見つかります。
規定の副教材の内容が易しすぎるとして、普段はもっと難しい教材を宿題にしていた先生が、「抽查」の直前に規定の副教材をクラス全員にまとめて埋めさせたという経験をもつ同僚もいました。
小中学校の「教務處jiàowùchù」の担当は、ある程度の経験を積んだ先生が多く、退職後に嘱託のような形で残っているケースもあったのだそうです。
宿題を忘れた子を放っておくと、先生自身の評価も下がってしまうというのが、前回と今回のセリフの背景にある事情でした。ちゃんと宿題を出すように促すのは、もちろん本人のためでもあるのですが。
(2020.11.04)