よく知られている慣用句でも、少しアレンジされると、訳し方を悩むこともあります。
(画像はYouTube三立華劇ep15からお借りしました)
吃醋 我幹嘛吃你的醋ヤキモチ?なぜ私がヤキモチ焼くの? |
元カノの件で、淡々とアドバイスする彼女に、手前の男の子が「なぜ焼かないの?」と聞いたら字幕の答えが返って来ました。
「ヤキモチを焼く」の中国語は「吃醋」。酢をそのまま飲んだことがある人はそうそういないでしょうが、飲んだとしたらきっとヤキモチと同じぐらい不快だろうな、と思えますよね。日本語とは違うけど、理解しやすい慣用句のような気がします。
ちょっとモヤモヤするのは、今日のタイトルの「ヤキモチの相手」。
このセリフでは、「吃你的醋」と好きな人が間に入っているのです。日本語だとどうでしょうか?「あなたにヤキモチを焼く」とはあまり言いませんね。
「あなた」を無理矢理入れるとしたら、「あなたのことでヤキモチを焼く」でしょうか?もし「彼女にヤキモチを焼く」と言えば、その「彼女」は第三者になりそうです。
おそらく、日本語の「ヤキモチ」は「誰のことで誰に対して」をはっきりする必要のない言葉なのでしょう。自分でも説明しにくい、受け入れ難い、誰に対して怒っているのかもわからないモヤモヤとした気持ち。
これに対して、中国語の「吃你的醋」を直訳すると「あなたの酢を飲む」。ヤキモチを焼かせた相手として意識されているのは、好きな相手なのです。
面白いのは、「吃A的醋」のAの部分に、第三者を入れることもあるという点。この用法はネイティブでも迷うことがあるようで、ネット上には「吃誰的醋?」という問いかけがいくつもあります・結局、自分を不快にさせているのが、誰なのかわかりにくいということなのでしょうね。
なお、この「吃醋」は、TOCFLのBand Bリスニング模擬試験問題(vol.3_28)のテーマとしても取り上げられています。
(2018.7.5)