ありふれたセリフでも、中国語に注目するとちょっと面白いことが見えてきます。
(画像はYouTube三立華劇ep13からお借りしました)
這隻手この手を |
この後に続くのは「一旦つないだら離さないよ」というあま~いセリフ。台湾ドラマではよくあるパターンですね。
私が注目したのは、字幕の真ん中の漢字「隻」です。少し前の「愛の数え方」の記事でもご紹介したように、中国語では「この/その〇〇」と言いたい時、「這」と〇〇に相当する名詞の間に、〇〇を数えるのに相応しい単位(量詞)を入れます。
だから、「這隻手」という言い方を見ると、「手」を数える量詞(助数詞)は「隻zhī」なのだということがわかります。
おもしろいのは「這雙手」のように、「雙shuāng」という量詞(助数詞)を使うこともある点です。もちろん、「這隻手」とは意味が違います。
「雙shuāng」は日本語の「双」という漢字に相当します。つまり「這雙手」というのは「この(両)手」という意味。これに対して「這隻手」は「この(片)手」という意味になります。二つの文字を拡大してみると、この関係がよくわかりますね。
「手」以外でも、「目」「靴」「手袋」等ふたつでワンセットのものを数える時には、「一雙,兩雙,三雙・・・」と「雙shuāng」を使います。それが片方だけになった場合に、「一隻,兩隻,三隻・・・」と「隻zhī」で数えるのです。
これが簡体字になると、「双shuāng」「只zhī」なのでこの関係が見えなくなってしまいます。私は当初ずっと簡体字を使って中国語を勉強してきたので、簡体字にもそれなりに愛着はあるのですが、こんな例を見ると、やはり元の繁体字の良さをしみじみ感じるのです。
(2018.7.3)