芸能人がコーヒーショップをオープンさせたという記事の見出しから、流行語をもうひとつご紹介します。(“斜槓”の解説はこちら)
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網美 wǎngměi ㄨㄤˇ ㄇㄟˇ
日本語訳:「映える」、美人インフルエンサー
【ニュース記事(2022/03/18)】
黃少祺投350萬斜槓當老闆 網美店藏老婆深情畫作
(350万投資でカフェのオーナーにもなった黃少祺、「映える」店には妻が愛を込めて描いた絵画)
解説
“網美”の基本的な意味は、“網路上的美女”つまり「ネット上で話題になっているきれいな女の子、美人インフルエンサー」です。
インスタグラムなどで、着飾ってポーズをキメた自分の写真の投稿を繰り返す女の子たち。そんな様子に憧れたり、ファンになったりする人たちもいますが、一方で、それに対して批判的な人もいるので、“網美”は決して単純な誉め言葉ではありません。
参考サイト:被稱作「網美」,是稱讚還是諷刺?
この”網美”の意味は、更に進化しています。今回注目したニュースサイトで取り上げられているのは、男性の芸能人なので、彼自身のことを”網美”と言っているわけではなさそうですね。
実は、ネットで”網美”を検索すると、飲食店の情報もたくさんヒットするのです。美人インフルエンサーが、自分の私生活の華やかさをアピールするためによく訪れるおしゃれな飲食店。内装も料理も「映える」お店が、”網美店/網美餐廳”等と呼ばれています。“網美景點”と言えば、もう少し幅広い意味での「映えスポット」です。
今回注目した記事では、“網美店”という言葉で、芸能人が経営するコーヒーショップが紹介されています。その「映える」お店の「映えポイント」が、実は奥さんの描いた彼自身の絵だったことを紹介することで、華やかさを追うだけでなく、家族を大切にする一面も伝わるという文章構成。
タイトルに使われた“網美”という流行語と、“深情(愛情深い)”というありきたりの言葉の対比も、その内容を象徴しています。
「美人インフルエンサー」を指す言葉が、その後、彼女たちが好むスポットを形容する言葉にもなったという進化の過程は、とても面白いと思うのですが、流行語についていくのは、なかなか大変ですね(日本語でも!)。