有名人の結婚の話題には、熱々ぶりをアピールする言葉がたくさん並んでいますね。例えばこれ。
①我嫁對人了。
さて、この言葉、あなたならどう訳しますか?自分では恥ずかしくとても口にできないような、あまーい訳をぜひ考えてみてください。
<V對>は「正しく~した」という意味の結果補語
”嫁jià”は「嫁ぐ、お嫁に行く」ですが、今回のポイントは、その後の”對duì”です。
”對”の元々の意味は「正しい」。相手の質問に対して「yes」と答えたい時の返事にも使いますが、これは「あなたの言っていることは正しい」という意味です。
この”對”を動詞の後ろにつけると、「ある動作を正しく行った」という意味の結果補語になりますが、①も含めて、<V對>を自然な日本語に訳すのはちょっと工夫が必要ですね。
反対の意味を表す<V錯>の方がよく使う
<V對>の反対の意味を表すのは<V錯cuò>。こちらの方がよく使われますし、日本語にも訳しやすいかもしれません。例えば、次のような言い方。
②打錯(電話をかけ間違える、文字の入力を間違える)
③說錯(言い間違える)
④走錯路(道を間違える)
( )の日本語は直訳を書いていますが、実際の会話では「間違えた」だけですますことが多いかと思います。(中国語では、動詞からちゃんと言うのが普通です。)
冒頭の①も否定にすると、次のようになります。
⑤我嫁錯人了。(結婚相手を間違えた)
<V對>は間違える可能性があることを示唆する
実は、<V對>を使うのは、②~⑤のように間違える可能性があった場合なのです。だから、迷いながらする事には、この形がよく使われます。
⑥猜對了/猜錯了(推測が当たった/推測が当たらなかった)
⑦選對人/選錯人(相手を正しく選んだ/相手を選び間違えた)
そのため、普段よく使う動詞でも、<V對>の形にすると、間違える可能性がある事が示唆されます。
⑧吃對了不生病(正しく食べれば病気にならない)
これは健康指南本のタイトルです。<V對>を使うことで、「あなたは間違ってるかもしれない」という裏の意味を読者に示唆しています。だから直訳の( )を意訳すると、こうなります。
⑨食べ方を間違えなければ病気にならない
文法事項として学ぶと難しく思える結果補語。でも、こんな風に並べると、中国語の表現の幅を広げるために役立っていることがわかっていただけるかと思います。ちょっと、本気で勉強したくなりませんか?
冒頭の「①我嫁對人了」という言葉の裏にも、ちゃんと、「間違える可能性もあった」ということが隠されているのです。そういった背景等を頭の片隅に置いて訳してみるといいのかもしれませんね。
色んな訳し方がありそうでちょっと難しいのですが、こんな風に訳してみるのはどうでしょうか?
★あなたの奥さんになってよかった。