秀逗
xiùdou/ショート
壊れる、おかしい
台湾語には、日本語起源の外来語もとても多く、セビロ、ラジオ、オトバイ、ドライバ、歐吉桑(おじさん)、歐巴桑(おばさん)、多桑(とーさん)、黑輪(おれん=おでん)、エトセ卜ラ、例は枚挙に暇がありません。
“ショート”も、よく知られた、そしてよく使われる日本語系外来語。「ショートする」からきているというのが通説です。音訳漢字としては“秀逗(xiùdou)”が一般的で、台湾の『両岸詞典』には掲載済。もう台湾華語の語彙と言ってもいいほど普及しています。
応用形“アタマショート” も頻出ですが、これは「頭が壊れた」、つまり「頭がおかしい」という意味になります。
“アタマショート” と同様の表現に次のような台湾語もあります。華語に混じってよく使われますよ。
頭殻ショート (thâu-khak ショート )
頭殻有問題 (thâu-khak ū būn-tê)
頭殻歹去(thâu-khak pháinn- -khì)
“頭殻”は台湾語で「頭」という意味です。
“ショート” の例をいくつか見てみましょう。
(1)まずは2014年の台湾映画『大稻埕』から。
この映画は主人公の大学生が日本植民地時代にタイムスリップするコメディ。セリフは基本的に台湾語です。映画の前半で、阿蕊(簡嫚書飾)に一目ぼれした有西(宥勝飾)が、自分は実は100年後の世界から来たのだと告白します。信じられるかい?と。阿蕊はもちろんこう返します。
你腦袋有問題嗎
(頭おかしいんじゃない?)
この字幕の“你腦袋有問題嗎”を、簡嫚書ちゃんは台湾語で“你是アタマショート?”と発音しています。
(2)2021年の台湾ドラマ『華燈初上』シリーズ3、第23集。
27分前後で出てきます。事件の鍵を握っていそうな刑事、阿達(章廣辰飾)のセリフです。テープレコーダーのことをきかれて、
對啊,最近一直出問題
(そうなんだよ、最近よく壊れる)
という字幕なんですが、最後の“出問題”のところを章廣辰くんが“ショート”と発音してるんですね。
ちなみに、“你ショート喔?”と言えば、“開玩笑吧?” (冗談でしょう?)の意味。ただし、この最後の“喔”が重要で、これがないとケンカ売ってるみたいになるので要注意だそうです。ま、スラングはきいてわかればOK!特に悪口系、下ネタ系、ちょいワル系のスラングはよいこは絶対に使っちゃだめ!