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弊社の台湾華語通信講座を受けてくださっている方からよくある質問や、誤解されやすい点を整理してご紹介します。その背景にある現地の習慣や文化にも触れているので、きっと楽しみながら中国語の仕組みを理解していただけるはず。

検定試験対策にもどうぞ!(レベルの分類は、TOCFLを参考にしています)

その「很」、必要?

中国語には、「很hěn」がたくさん出てきます。「その”很”って、つけなきゃダメなの?」とネイティブに聞くと、「ううん、なくても大丈夫よ」と言われたりするのですが、でもあれだけ使われているからには、きっと大切な役割があるはず。

今回はこの「很」の役割りを見てみたいと思います。

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【ヒント】「很」を落とした「我忙。」と比べてみましょう。

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【解説】

中国語の形容詞は、それだけで使うと「他と比べる」という「対比のニュアンス」が出てしまいます。そのため、次の①は、「私だけ」「他の人は忙しくないかもしれないけど」という裏の意味を感じさせることがあるのです。日本語なら「私忙しい。」の「は」を強く読んだ感じ。ちょっと嫌味ですよね。

①我忙。Wǒ máng.(私忙しい。)

同じ理由から、他の女の子の前で②を言うと怒られてしまうかもしれません。

②她漂亮。 Tā piàoliàng.(彼女きれいだ。)

①②の「対比のニュアンス」は、程度を表す副詞を前につけると消えます。

③我忙。Wǒ hěn máng.(私は忙しい。)
④我非常忙。Wǒ fēicháng máng.(私は非常に忙しい。)
⑤我特別忙。 Wǒ tèbié máng.(私は格別忙しい。)

⑥她漂亮。Tā hěn piàoliàng.(彼女はきれいだ。)
⑦她漂亮。 Tā zhēn piàoliàng.(彼女は本当にきれいだ。)
⑧她漂亮。Tā chāo piàoliàng.(彼女は超きれいだ。)

こう並べると、「很」は他の程度副詞と比べて強調の意味が薄いのがおわかりでしょうか。「很」に「とても」という訳語を当てる人も多いようですが、弊社の通信講座では「”很”を訳さない」練習をしていただいています。そうすることによって、日本語に「とても」がなくても、これを中国語にする際に、「很」が必要なことを思い出しやすくなるからです。

「很」を特に強く読んだ場合等、「とても」という強調の意味をもつこともありますが、そういった例外は徐々に覚えていくとして、まずは「強調する意図がなくてもつけることが多い」という原則を覚えるのがおすすめです。

ただし、この「很」がつくのは一般的な肯定文の場合だけ。以下のような場合には、述語が形容詞でも全て「很」は要りません。

《1》疑問文

⑨你忙嗎?Nǐ máng ma?(あなたは忙しいですか。)
これに「はい」と返事したい時は肯定形ですから、やはり「很」を加えて、「很忙。Hěn máng.」と言うのが自然です。

《2》否定文

⑩我不忙。Wǒ bù máng.(私は忙しくない。)

《3》対比文
他と比べる感じを強く出したい時は、もちろん「很」はつけない方が効果的ですね。

⑪我忙,他不忙。Wǒ máng, tā bù máng.(私忙しいけど、彼忙しくない。)

《4》他の程度副詞がある場合(④⑤⑦⑧等)

①②のような「很」がない文が「きつく聞こえる」と言うと、「会話の時に間違ったらどうしよう」と不安になる人もいるかもしれませんね。でも、そこは心配ご無用。外国人が少しぐらい間違えても、相手を尊重する態度さえ示すことができれば、ちゃんと理解してもらえると思います。それは外国人が日本語の敬語を少しぐらい間違えても、怒ったりしないのと同じですね。

(2018.10.25)