今回は、入門段階で出てくる「これ、それ、あれ、どれ」の言い方。
「これは私のです」に相当する上の例はOKなのに、「私のはこれです」に相当する下の例はダメ!
いったいなぜなのでしょう???
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【ヒント】中国語の「這/那/哪zhè/nà/nǎ」をそのまま使えるのは、特殊な場合だけ。
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【解説】
日本語の「これ/それ/あれ/どれ」に相当する中国語を表にしてみると、次のようになります。
これ | それ | あれ | どれ | |||
這 +【量詞】 | 那+【量詞】 | 哪+【量詞】 |
「量詞」は物事を数える時の単位。よく使われる量詞には次のようなものがあります。
一個蘋果yí ge píngguǒ/一個のりんご
兩本書liǎng běn shū /二冊の本
三杯茶sān bēi chá/三杯のお茶
四件衣服sì jiàn yīfu/四枚の服
「これ/それ/あれ/どれ」と言いたい時には、「這/那/哪」の後ろにこの量詞を組み合わせて使います。まず、代表的な量詞の「個」を使った例文を並べてみましょう。
①這(個)是我的。Zhè (ge) shì wǒ de. これは私のです。
②我的是這個。Wǒ de shì zhè ge. 私のはこれです。
③那個很好。Nà ge hěn hǎo. あれはいい。
④哪個最好? Nǎ ge zuì hǎo? どれが一番いい?
⑤哪個是你的? Nǎ ge shì nǐ de? どれがあなたのですか。
⑥你的是哪個? Nǐ de shì nǎ ge? あなたのはどれですか。
おわかりでしょうか。「これ/それ/あれ/どれ」を「這/那/哪」だけで言えるのは①だけ。②-⑥の量詞の「個」は全部省略できないのです。
では、どのような場合に量詞を省略できるのか、ルールをちゃんと整理しておきましょう。
「是」を使った述語の主語になる時だけ、「這、那」の後の量詞が省略できる。
上の例では①だけがこの条件に合っているので、「個」が省略できるのです。
注意点をもう少し補足しておきます。
●③の例は述語が形容詞。中国語では述語が形容詞の場合「是」がつかない。(例:我很忙。 ×我是很忙。)
●量詞が省略できるのは「這、那」の後ろだけ。「哪」は⑤⑥のようにいつでも量詞と一緒に使う。
●「これ/それ/あれ/どれ」で指しているものに相応しい量詞を使うことも多い。例えば④の場合、次のようなバリエーションがある。(どんな量詞を使えばいいかわからない時は「個」を使っておく)
⑦哪本最好?Nǎ běn zuì hǎo?/どれが一番いい?(本について聞いている)
⑧哪件最好?Nǎ jiàn zuì hǎo?/どれが一番いい?(服について聞いている)
最初に「這是什麼?Zhè shì shénme? ー這是書。zhè shì shū./これは何ですか。-これは本です。」のような例を練習すると、まるで「這=これ」のように見えますね。でもだからと言って、中国語を学び始めたばかりの時に、上のような規則を教えられると混乱してしまうかもしれません。
どの段階でどんな文法を教えるのかは、教える方にとっても、実はかなり悩ましいのです。
(2018.10.23)
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