「何となくわかる」と思っていても、自然な日本語に訳すのが難しい言葉がたくさんありますね。これもそのひとつ。
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【ヒント】「活動(かつどう)」という言葉を使わずに訳してみる。
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【解説】
台湾華語の教科書の定番「視聴華語vol.3」に、「活動中心huódòng zhōngxīn」という言葉が出てきます。大学等によくある施設の名前なのですが、これを自然な日本語に訳そうとすると、ちょっと大変。
それは、日本の大学で対応しそうな施設の名前がバラバラだから。「多目的ホール、コミュニティラウンジ、フリースペース、カフェテリア、学生会館・・・」。課外活動、言語交換等、授業以外の様々な目的で利用できるスペースのことですね。
その上、中国語の「活動huódòng」には様々な訳語が当てられるという問題もあります。
まず、「活動(かつどう)」と訳せる例から見てみましょう。
①課外活動 kèwài huódòng(課外活動)
②社團活動 shètuán huódòng(クラブ/サークル活動)
ところが、以下のように並べると、「活動」という訳語を使えない例もたくさんあることがわかります。
③校外活動 xiàowài huódòng(校外学習)
④迎新活動 yíngxīn huódòng(新入生歓迎行事)
⑤競選活動 Jìngxuǎn huódòng(選挙運動)
⑥戶外活動 Hùwài huódòng(アウトドアアクティビティ)
⑦休閒活動 xiūxián huódòng(レジャー)
⑧折扣活動 zhékòu huódòng(割引セール)
⑨促銷活動 cùxiāo huódòng(販促キャンペーン)
⑩宣傳活動 xuānchuán huódòng(プロモーション)
共通するのは、「何かの目的をもって、日常とちょっと違うことを、複数の人が一緒になって行うこと」でしょうか。文脈によっては、「イベント」「企画」「催し」「大会」のような訳もできます。
こんな風に様々な訳語があることを考えると、冒頭の「活動中心huódòng zhōngxīn」には、「多目的ホール」という訳語が一番合うのかもしれませんね。
「活動する」という意味の動詞として使うこともありますが、その場合も、「活動」以外の訳語はないかと一度考えてみることで、より自然な和訳ができるはずです。次の例は健康促進キャンペーンで使われたフレーズです。
⑪活動活動,要活就要動huódòng huódòng, yào huó jiù yào dòng(身体を動かそう、長生きはまず動くことから)
動詞として使われる場合の他の訳語の例は省略しますが、日本語と中国語が同じ形だからといって、それを機械的に当てはめるのではなく、その文脈に合う訳語を探すトレーニングを重ねることで、中文和訳だけでなく、和文中訳の力もきっと伸びるはずです。
似たような例は、以下のページでも紹介していますので、ぜひご参照ください。
(2019.1.4)