「這」という漢字が、zhèと読まれたり、zhèiと読まれたりすることがあるのは、気づいている人も多いかと思います。では、どういう基準で読み分けたらよいのでしょうか?

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【ヒント】zhèiと読むのには、ちゃんと理由がある。
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【解説】
まず、zhèiという読み方がどこから来たのかという理由から。
日本語の「これ」「この」に対応する中国語は、「這個,這本,這張」のように、後ろに「量詞(物事を数える際の単位を表す言葉」をつけるのが原則。(詳細はこちら)
この「這+量詞」の間には、実は「一」が省略されているのです(よく考えると、日本語の「この人」も「ひとり」!)。次の例を見てください。
①這(一)個 人 zhè (yí) ge rén /この人
②這(一)本 書 zhè (yì)běn shū/この本
③這(一)張 票 zhè(yì)zhāng piào/このチケット
zhèiという読み方は、この「zhè yī」が短くなったもの(「一」の変調ルールはこちら)。だから、間の「一」をちゃんと発音する場合には、次のように、zhèiという読み方はできなくなります。
④這 一 個 人 Zhè yí ge rén ( ×Zhèi yí ge rén )/この人
間に入る数が「一」以外の場合も、やはりzhèiと読むことはできません。
⑤這 兩 個 人 Zhè liǎng ge rén ( ×Zhèi liǎng ge rén )/この二人の人
「これ」を表す「這+量詞」が「「是」述語文の主語になる時には、「這」の後ろの量詞を省略することができますが(詳細はこちら)、この場合もやはりzhèiと読むことはできません。
⑥這 是 我 的 。Zhè shì wǒ de.(× Zhèi shì wǒ de.)/これは私のです。
つまり、直後に量詞がある場合(「這+量詞」の形の場合)だけ、zhèiと読むことができるのです。ただし、これは、必ずzhèiと読まなけれなならないという意味ではありませんので、zhèと読むこともできます。(台湾では、全部zhèと発音する人が多いようです)
「那nà nèi」「哪nǎ něi」の読み分けも、同じルールで判断することができます。
(2019.5.19)